ご存じですか 院OG・閻瑜(えんゆ)さんの著書

2012年11月15日

ちょっとお知らせが遅くなりましたが、大妻女子大学大学院OGで、本学で博士号を修得した中国人日本近代文学研究者、閻瑜(えんゆ)さん〔写真右。2006年文学研究科国文学専攻博士後期課程(現人間文化研究科言語文化学専攻博士後期課程)修了〕は、前年3月25日付で博士論文を発展させた初の著書『新しい中島敦像―その苦悩・遍歴・救済』(写真左。税込み3,150円)を桜美林大学北東アジア総合研究所から出版し、研究者として幸運なスタートを切っています。

若手外国研究者として期待

「初めての若手外国研究者による中島敦論 中島敦名作誕生の過程と源泉を探る」の帯が添えられた著書は、2部構成からなり、第1部は「転換点としての『わが西遊記』」と題して、中島敦にとって同作が西洋から東洋へ回帰するターニングポイントになったと論じ、第2部は「中島敦の批判精神―時代との関り」と題して、最晩年の小説「名人伝」に示された「不射の射」という理想的境地に中島は時代への批判を実現していたと説いています。

瑜さんと中島の出会いは、中国武漢大学大学院修士課程在学中に修士論文のテーマとして日本人教授から中島敦を勧められたのがきっかけ。より中島研究を深めたいと本学博士課程に留学しました。在学中は、飛高隆夫名誉教授、須田喜代次教授の指導を受け、博士論文「中島敦研究―その存在意識と創作方法の変遷」を執筆して博士号を見事に得ました。「いつか博士論文を出版する」との飛高教授との約束をかなえたものとなりました。